23. ”晴れた雪の南蛮山歩き”

       〜 踏み跡のない真っ白なコース、道筋を描く快感 〜

あなたは人目のお客さんです

◆ 長岡市街南郊、南蛮山

  
長岡市街南郊、南蛮山(コースの中腹から)
 
長岡市街南郊、南蛮山(コースの中腹から)

 1月下旬、すっきり晴れた土曜日、あまりの快晴に誘われ長岡市街南郊、南蛮山を歩いてきた。
 今年の雪の到来はことのほか早かった。12月のうちから屋根の雪下ろしをする状態だった。とりわけ山間地の豪雪は、津南町に象徴されるとおり日常生活にすら支障が出ている。幸い、長岡市周辺は1月時点では1回ほどの雪下ろしで助かっている。ほどほどの積雪で、春山や山菜の出具合が楽しみだ。
 1月も半ばに差しかかると、しばし晴れ間ものぞき、近くの東山の雪景色が望まれ、じっとしていられない心境になってしまう。南蛮山は、長岡の東山の一角にあって市街から見て中央部の一番高い鋸山の右手、南側に位置している。頂上は平らな台地状の広場でコンクリートの屋根付き休み場もあり、眺望もよく、格好の市民のハイキングコースでもある。
 鷺巣町の名刹、定正院口から登って、市内の彫刻家の手による石造を展示している「石彫の道」を経て、途中の十方台の展望台で越後平野を眺望し、山頂展望広場に到るハイキングコースは、春から秋にかけて家族連れの隠れた散策コースとなっている。


「石彫の道」案内標識

◆「石彫の道」、肩まですっぽりの石造群 

 近年、定正院の上、農業高校の実習場上部にゴルフ場が造られ冬季もここまで除雪ができている。ここまで車が入って助かる。早速カンジキをつけ雪のコースに上がった。積雪はまだ2Mにはなっていなかったが、誰も歩いた後はなかった。
時折りカンジキごとスポッと膝までぬがるが、10pほどの新雪の下はおおむね締っていて歩きやすい。

石彫の案内標識    雪に埋まる石彫

雪に埋まる石彫と案内標柱

 このあたりから、夏道は「石彫の道」となって石造のオブジェが点々と置かれ、ハイカーの目を楽しませてくれるところだ。市内外の彫刻家達が、地元の釜沢石を使って何年もかかって次々と作品を創りあげたと聞いている。しかし、今は雪に埋もれて頭の部分しか見えなかった。夏にはぜひ足を運び、一見されることをお勧めしたい。

◆ 無垢の新雪コースに踏み跡を描く感動

 南蛮山のハイキングコースは車道で、山頂を越えると竹之高地集落に出て蓬平温泉につながる近道でもある。今はまったく誰も辿った踏み跡もなく、白い雪原が続いているだけだ。天候も上々、純白の新雪に一歩一歩自分の足跡をつける気分はいいものだ。振り返れば、今通ってきたカンジキの自分の踏み跡が一本の筋になって残っている。誰も荒らす者はいない。
 黙々と歩いた。よく見ると、コースのあちこちに獣の足跡が残っている。小さいもの、大きいものさまざまだ。残念ながら、知識がなくて形を見ても動物の見分けは全く不明だった。
 面白いことに、人の通るコース上に直線的に続いていることだ。ちょうどコース案内をしていてくれるように。やっぱり安全な道は、動物のカンで分かるものなのだろうか。その跡を追うように辿って登った。

雪原に続く踏み跡    コースに点々と続く獣跡

カンジキの踏み跡と獣跡

◆ 長岡市内の眺望が一望に


南蛮山山頂から見る冬の長岡市街

 歩き始めて2時間15分。南蛮山山頂にたどり着いた。山頂にたどる一歩手前、左手斜面で硬い急斜面が一箇所あって、爪のないカンジキで少し危険を感じたが、あとは危険なところは一つもなかった。
 山頂の広場は、丸くふくらみをもった純白の雪原となっていた。コンクリートの休憩所はまだ2Mちょっと位の積雪で、屋根に這い上がれる状態にはなっていなかった。何年か前の3月、楽々屋根に上がって昼寝したことを思い出した。やがて雪ですっぽり覆われることだろう。
 山頂からの魚沼三山はくっきりとは望めなかったが、長岡市内はすっきりとした眺望が望めた。

山頂広場から鋸山方面を望む    山頂休憩所の様子

左 南蛮山山頂からの鋸山方面  右 山頂休憩所の模様

 今年初めての歩きを、カンジキを着けての南蛮山歩きとなった。好天気に誘われて思いつきの散策であったが、程よい距離と時間でいい汗をかいて終わった。自宅から登り口まで僅か15分の距離。この冬の時期、天候さえ良ければ、ひょっとした思いつきで、気の向くまま、危険もなく身近に行動できるコースのあることを知った。お勧めコースかも知れない。トレーニングにももってこいだ。(小休憩含め往復4時間)

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